Rd.4 富士スピードウェイ レースレポート
公式練習
2023年のSUPER GTは、6月に三重県の鈴鹿サーキットで開催された第3戦から約2ヶ月のインターバルがあった。ROOKIE Racingはその間も他カテゴリーのレースで忙しく過ごす期間ではあったが、その一方でSUPER GTに向けてもしっかりとシリーズ中盤戦への準備を進め、8月5日(土)〜6日の第4戦を迎えた。舞台はチームの地元レースである静岡県の富士スピードウェイだ。
TGR TEAM ENEOS ROOKIEは今季これまで、開幕から3戦連続ポイントを獲得しており、ランキングは6位。
3戦を終えてランキング上位はサクセスウエイトが重くなり、エンジンパワーが絞られる燃料流量リストリクターの調整が入るチームも出はじめている。
優勝、そして表彰台獲得のチャンスは増えることになる。
この中盤戦の流れを手に入れるべく、チームは8月5日(土)の予選日に臨んだ。
7月から猛暑が続くなか、この日の富士スピードウェイも午前中から気温30度を超えるコンディション。
午前9時から始まった公式練習では、まずは大嶋和也がENEOS X PRIME GR Supraのステアリングを握りコースイン。午後の公式予選に向けたセットアップを進めていった。
大嶋は2回のピットインを行いながら走行を重ねていくものの、「乗り出しからフィーリングが良くなかった」とピットインのたびに修正を行っていった。
少しずつ改善の兆しはあり、14周を走った後再度ピットへ。
山下健太に
ステアリングを託した。1
山下もやはり感触はあまり良いものではなく、4回のピットインを行いながらセットアップの改善に取り組んだ。
終盤、専有走行の時間帯にアタックラップのシミュレーションに臨んだものの、ここで#39 GR Supraがトラブルのためコースサイドにストップ。
赤旗が出され、そのままシミュレーションを行えないまま公式練習は終了となった。
ENEOS X PRIME GR Supraの順位は15番手。
午後の公式予選に向けたセットアップの改良は急務となっていた。
決勝レース
これまで酷暑のなかでのレースウイークだった第4戦だが、8月6日(日)の決勝日は朝からどんよりとした雲に包まれ、ピットウォークを前にして雨が降り出した。その後一時雨は止み、決勝前のウォームアップでは一時路面が乾きドライタイヤ装着まで至ったが、レース直前にまたも雨。スタートドライバーを務めた大嶋は、ウエットタイヤを履きスタートした。
激しい水しぶきが上がるなか、序盤大嶋は異なるタイヤを履くライバルに先行されるなど順位を落としたものの、上位争いに食らいついていく。
ただ8周が終わる頃には雨が止み、今度は急速にレコードラインが乾きはじめた。10周を過ぎるとGT500でもピットインしタイヤ交換を行うチームが現れはじめ、TGR TEAM ENEOS ROOKIEも13周目に大嶋を呼び戻し、タイヤを交換。16周目に全車がピット作業を終えスリックに替えると2番手に浮上。乾いてきた路面で23周目には#16 NSX-GTをかわし、大嶋は首位に浮上してみせた。
ドライでは前日まで取り組んできたセットアップが功を奏し、ペースも悪くない。
しかし、この段階でひとつの懸念が生まれていた。
この450kmレースでは2回の給油をともなうピットインが必要だが、ENEOS X PRIME GR Supraはピットイン時にタイヤを換えたのみで、給油は行っていなかった。
ただ多くのライバルたちはかなりの量の給油を行っており、それが首位浮上に繋がったのだが、ライバルがこの後1回のピットインのみでレースを走りきれる可能性が生まれていた。
大嶋はトップのまま45周を終えてピットに入ると、山下健太に交代する。
ライバルたちも続々とピットインし目まぐるしく順位が変わっていくが、チームは3回目のピットインを画策していた。
2回目の給油を行わなければならず、遅れは必至ではあったが、うまくセーフティカーラン等に絡めることができればまだ逆転は可能だ。
そんななか、66周目にアクシデントが起きた。GT300クラスの車両が火災に見舞われ、13コーナーに車両を止めてしまったのだ。
チームは早急に山下を呼び戻す準備を行ったが、火勢が強く、すぐにレースはセーフティカーが導入され、ピットインは実現せず。
さらに消火のためレースは一時赤旗中断となった。
無事に消火が終わり、レースは午後4時10分に再開される予定だったが、今度は強い雨が富士に注いでしまう。
安全のため中断中にレインタイヤへの交換が認められ、午後4時30分にレースは再開。山下はトップのままレース終盤を戦った。
濡れた路面のなか、ウエットタイヤのペースに優れるタイヤを履く#3 Z GT500に74周目に先行を許した山下は、少しずつ路面が乾きはじめるのを感じ取った。
82周を終え、チームは義務回数をこなすべく3回目のピットインを決断。
ここで逆転を期して山下にスリックタイヤを履かせピットアウトする。
なんとか山下はタイヤを温め、終盤にはウエットタイヤのままのライバルたちより大幅に速いペースを掴んだものの、追い上げは実らず。
ENEOS X PRIME GR Supraの順位は11位。今季初の無得点で終わることになり、チームとしては痛い地元戦となってしまった。
ドライバー/監督コメント
大嶋 和也
土曜の走り出しからフィーリングが良くなかったのですが、途中いろいろなところを変更して、最終的にそこそこ良くはなりませんでしたが、予選までに細かい詰めができませんでしたね。
ただ決勝ではクルマは問題ありませんでした。タイヤもしっかりとハマっていて、レースでは一時、本当に勝てるのではないかと期待もしましたが、戦略の面でミスがあり、もったにないことをしてしまいました。
気持ちを切り替えていくしかないですね。
このレースはサクセスウエイトもかなり積んできていましたが、上位で戦えるということは確認することができましたし、次戦も速く走れる保証はありませんが、しっかりと次戦、今回のレースのリベンジをしていかなければいけないと思っています。
悔しいですが、みんなでしっかり成長していくしかないですね。
山下 健太
予選ではミスもなかったのですが、あとほんの少し足りませんでしたね。
決勝レースではトップでバトンを受け取り、スリックタイヤでしばらく首位を守りながら後続とのギャップも保てたのですが、赤旗中断をはさみウエットタイヤに交代して、その後も感触は悪くなくギャップを広げることはできたものの、最後のピットストップでは給油をするしかなかったので、タイミングは少し早いとも思いながら、スリックタイヤに交換することになりました。スピンすることなくペースを上げて、最後は周回を戻すくらいまではいけたのですが、難しいレースになってしまいましたね。
とはいえ、まだ第4戦ですからね。僕が大嶋選手とチャンピオンを獲ったときには第5戦から巻き返すことができたので、まだまだこれからだと思っています。
高木 虎之介
序盤、それと終盤とレース中に2回アクシデントがあって、セーフティカーランのタイミングがあったと思うのですが、そこを狙ってピットインする予定だったのですが、運悪く2回とも入れなくて。
まわりを大きく引き離してピットに入るつもりが、戦略がまったくずれてしまいました。
すべてのタイミングが外れてしまったことで、うまくいかないレースになってしまったと思います。
燃料もギリギリでしたし、あのタイミングでピットに入らざるを得ませんでした。ポイントを獲り逃してしまったのは本当に悔しいですね。
ひさびさの無得点のレースになってしまったのは残念です。
もう次の鈴鹿でのレースは勝つしかないですね。ランキング上位がしっかりポイントを獲ってきているのでなおさらです。
PHOTO BY Noriaki MITSUHASHI / N-RAK PHOTO AGENCY