7月から通年より3か月遅れで開幕した2020年スーパーGTシリーズは早くもシリーズ最終戦を迎えた。通年であれば8ヶ月間で8大会を行うが今年は5カ月で8大会を行う過密スケジュールで行われた。
同ポイントではあるもののシリーズランキングトップで迎えたシリーズ最終戦、スケジュール通りであれば11月の第1週にツインリンクもてぎで行われるが今年は11月第3週に標高約800mの富士スピードウエイにて行われた。
気温13℃路面温度17℃と前例のない条件で迎えた予選日、予選Q1をエース平川亮が担当。
予選が始まってもしばらく待機するのが通例の予選Q1だが、路面温度の低さから予選開始直後に各車コースインする中、KeePer 37号も残り8分でコースイン、じっくりとタイヤに熱を入れるように丁寧にラップを重ねていきチェッカーが提示された最終アタックラップ、平川亮の渾身のアタックでトップタイムをマークし予選Q2へ進出した。
前戦のもてぎ大会でのQ1敗退のトラウマからQ2担当を懇願した山下健太であったがQ1を平川亮がトップで通過したことにより本人には更なるプレッシャーがのしかかることになった。
予選Q2も開始後すぐにコースインした山下健太は平川亮同様ゆっくり、丁寧にタイヤに熱を入れていく。各マシンがベストタイムを更新した時点ではまだ7番手のKeePer 37号車はチェッカーフラッグが掲示された最終アタックラップに各セクターベストタイムで通過、結果的にはコースレコードでトップタイムを叩き出しポールポジションを獲得。
1ポイントを加算して単独トップで明日の決勝レースに挑むことになった。
最高の形で迎えたスーパーGT最終戦決勝日、気温8℃、路面温度13℃と昨日よりさらに気温が下がった中での決勝レースとなった。
今回は気温が低いことを想定しフォーメイションラップを2周する予定であったが、さらに1周追加され3周のフォーメイションラップののち決勝レーススタート。
スタートドライバーはポールポジションを獲得した山下健太が担当、ところがミシュランタイヤの23号車が驚異的なタイヤの温まりで一気にトップへ躍り出るが、タイヤに熱が入った6周目にKeePer 37号車がトップを奪い返すと、2位以下をどんどん引き離し独走態勢となる。23周目にピットインするまで山下健太は2位以下に10秒以上の差をつけステアリングをエースの平川亮へ託した。
コース復帰直後、タイヤに熱が入るまでにタイヤ無交換のスープラ6号車にトップの座を渡すが、タイヤに熱が入った平川亮の敵ではなく難なくオーバーテイクしトップへ返り咲くと、2位以下をどんどん引き離して独走態勢を築く。そのまま順調にラップを重ねていくが、レース終盤に2位の100号が一気にペースアップをし最大16秒以上あった差をどんどん詰めてきて残り3周の時点では3秒後方迄接近してきたが、それに対し慌てることなく100号車との間隔を保ながらチェッカーを目指してステアリングを握る平川亮であったが、チェッカー迄残り2周のところで突然の平川亮からの無線にピット内は氷ついた。
「フューエルアラートがついた」
この警告灯はガソリンの残量が少なくなった時につくアラートでこれがついてしまった場合は1、2周でガス欠になってしまう。チーム側はちゃんと予定通りにガソリンは入っているので平川からの無線に対し「ガソリンは大丈夫だよ」と返信する。
その後平川から再度無線が入る
「(フューエルアラートが)消えた」
ピットではこの無線に対しさらに緊張感が増した、恐らくコーナーリングのGフォースでガソリンの油面が揺れアラートが消えたと想像できる、ということは
フューエルアラートのセンサーはちゃんと機能している・・・
この時点でマシンは最終ラップ、祈るような気持ちでモニターを見つめる、無線のやり取りを知らないスタッフ、レースクイーン、カメラマン、BSのタイヤスタッフがサインガードへ駆け寄りKeePer号のチャンピオンチェッカーを待ちわびている。
しかし、最終コーナーを立ち上がった所でガス欠症状が出て失速。
ゴールラインまであと500mのところで2位の100号車に抜かれ2位でゴール。
2017年にチャンピオンをとって以来2年連続でチャンピオンに届かずシリーズ2位となっていたが、手につかみかけていた念願のシリーズチャンピオンが目の前で零れ落ちてしまった。
3年ぶりのチャンピオン獲得に向け応援して頂きました皆様には残念な結果となってしまったが、ドライバー、チームは最後まで全力で戦いました。
応援誠にありがとうございました、2021年も引き続きよろしくお願いいたします。